競艇

同期・地元・年齢…競艇選手(ボートレーサー)の奥深い人間関係がレース結果を左右する?

実力ありきだけで勝負が決まるスポーツなら、大穴の発生なんて期待できません。
しかしボートレースはギャンブル。
実力だけがモノをいうわけではない世界です。

ボートレースの勝敗には、操艇テクニックやモーターの性能だけではない「あるもの」が関係しているといわれています。
それが「競艇選手の人間関係」です。

この記事では、知っておくと面白くて勝敗の予想にも役立つ「競艇選手(ボートレーサー)の人間関係」にフォーカスしていきます。

ボートレースは『エンターテイメント』である

ボートレースはスポーツ競技ではありません。
エンターテイメントのひとつです。

ボートレース初心者の方は、まずこの事実をしっかりと胸に刻んでおきましょう。

もしボートレースが「最速タイムで周回するスポーツ競技」なら、その節で使用するモーター・ボートを抽選で決めたり、スタート展示で狙っている進入コースを匂わせたりなんてしません。
各競艇選手(ボートレーサー)がサポートチームを結成して最高の技術で自前のモーターをチューンし、ボートもルールの範囲内で改造して0.001秒でも早く走れるように仕上げるでしょう。
レース運びの手の内はギリギリまで明かさずに、土壇場で披露して裏をかくはずです。

ボートレースでは。B2級競艇選手(ボートレーサー)の中にひとりだけA1級競艇選手(ボートレーサー)が編成されていたとしても100%A1級レーサーが1着になるわけではありません。
反対に、A1級競艇選手(ボートレーサー)ばかりのレースにひとりだけB2級競艇選手(ボートレーサー)が編成されていても、絶対にB2級レーサーが6着になるわけでもありません。

さまざまな要素によって「誰が勝つのかわからない」という状態を作り、誰も勝つなんて思っていなかった競艇選手(ボートレーサー)が1着を奪うことがあるからこそ、ファンは熱狂するのです。

養成所の同期生は結束が強い

競艇選手(ボートレーサー)になるには、学科試験・体力試験・適性試験・面接試験に合格して福岡県柳川市にある『ボートレーサー養成所』を卒業しなくてはいけません。
競艇選手(ボートレーサー)になるための訓練施設といえば、昔は山梨県の本栖湖に『本栖研修所』がありましたが、2001年に現在の場所に移転しました。
移転当時は『やまと競艇学校』という名称でしたが、2010年には競艇がボートレースに名称変更されたのを受けて『やまと学校』に改称。
2017年からは『競艇選手(ボートレーサー)養成所』に名前を変えて現在に至ります。

養成所の訓練は非常に厳しく、まるで軍隊のような規律の中でプロの競艇選手(ボートレーサー)を目指します。
6か月目の進級試験で不合格になると強制退学、卒業前の国家試験に不合格になるとさらに6か月の訓練が課せられ、無事に卒業できる確率はほぼ50%。

こんな厳しい訓練生時代をともに過ごしてきた同期生ですから、競艇選手(ボートレーサー)同士の結束力はハンパなものではありません。

競艇選手(ボートレーサー)同士の同期愛が強いことで有名なのが76期生の原田幸哉(A2級)と瓜生正義(A1級)のお二人。
モーターは自主整備が原則ですが、2002年の平和島SGで、瓜生が自分の整備を後回しにして原田のモーター整備を手伝っていたとか。
その甲斐あってか、原田はSG初優勝を飾ります。
一方の瓜生は2007年に住之江で開催されたSGで初優勝しましたが、このレースではライバル筆頭候補だった松井茂を原田が徹底ブロックするレース展開。
原田は松井に対して強烈なダンプをおこない、松井は転覆寸前になるほど体制を崩したというのですから、まさに身を挺した「原田の恩返し」だったのでしょう。

養成所時代の同期生は、結束力が高い反面で「ボートレース界に足を踏み込んでからのライバル関係」というパターンもあります。
原田・瓜生ペアのように互いにSG優勝に貢献することがあれば、コイツにだけは絶対に負けたくないと燃えることもあるので、競艇選手(ボートレーサー)の同期関係も頭にも注目です。

出走表をみると競艇選手(ボートレーサー)の名前とともに4ケタの数字が記載されていますが、これが競艇選手(ボートレーサー)の登録番号。
国家試験に合格した順番で通し番号が与えられていますが、番号がごく近い競艇選手(ボートレーサー)は同期関係の場合が多いので参考にしましょう。

地元支部のつながりは同期以上の結束がある

全国には18の『支部』があります。

出走表をみるとわかりますが、競艇選手(ボートレーサー)は『出身』と『所属支部』を公開しており、おおむね地元に近い支部に籍を置くことになります。
同じ支部の競艇選手(ボートレーサー)はいわば「同じチーム」のメンバーになるので、強い結束力が生まれます。

支部にはA1~B2級の競艇選手(ボートレーサー)が分け隔てなく所属していますが、ベテラン勢は新人の競艇選手(ボートレーサー)の面倒をみる良き兄・姉のような存在です。
レースに勝つための技術的なアドバイスや訓練、ボート競艇選手(ボートレーサー)をしての道を歩み続けるためのメンタルケアなど、支部の先輩は後輩を徹底的にサポートしてくれるのです。

支部のつながりはレースの結果にも影響します。

たとえば、1号艇と3号艇が同じ支部になるとアウトがインをかばうなんていわれています。
1号艇が第一ターンマークを旋回する際に、3号艇が2号艇の進路をふさぐとか…

また、支部運営サイドには「支部からのSG・G1への出場や優勝を出したい!」といった思惑があるため、重賞への出場権がかかっている競艇選手(ボートレーサー)が勝てるようにチーム戦をしかけることもあるようです。
次のようなケースでは、支部のつながりをしっかりとチェックしておくと的中率アップにつながります。
・優勝経験ゼロの競艇選手(ボートレーサー)がいる
・SGやG1への出場がかかっている競艇選手(ボートレーサー)がいる
・十分に勝ち点数を持っている競艇選手(ボートレーサー)がいる

さすがに「わざと負ける」とか「勝率が圧倒的に高いイン1コースを譲る」なんてことがあれば八百長になってしまいますが、レース展開で同じ支部の競艇選手(ボートレーサー)を助けるのは戦略のひとつです。

こういった支部絡みの戦略を見抜くためにも、投票の際には穴が開くほどに出走表とにらめっこをして支部の人間関係をチェックしておくことが肝心です。

同郷のよしみもレースに影響する、競艇選手(ボートレーサー)の出身地に注目

支部のつながりと同じように競艇選手(ボートレーサー)が重視するのが『出身地』です。

所属する支部は基本的に現住所地によりますが、競艇選手(ボートレーサー)によっては「出身地は大阪だけど師匠のもとにくるために東京支部に所属している」というケースもあります。

ここで少し別の公営ギャンブルの話をしましょう。

自転車レースの競輪には『ライン』という考え方があります。
自転車レースもボートレースと同じく「どの車番が勝つのか?」を予想しますが、ラインを読むことが大切です。

ラインとは、2~4人の選手がひとつのグループを作って陣形を維持しながら走ることです。
たとえば、あなたが高速道路を走っているときに前方を走っている車を追い抜こうとしています。
前の車が普通車ならカンタンに追い抜くことができるでしょう。
でも、前の車が15mを超える長いトレーラーだったら、追い抜くためには長い距離が必要になります。
それがおとなしく抜かれてくれればいいですが、抜かれないように一緒に加速してくれば大変ですよね。

競輪でラインを形成するとき、ラインには『人間関係』が関係します。
もっとも多いのが支部、次に出身地、次いで同じ地区、近隣の地区でラインを形成するので、競輪では支部や出身地がダイレクトにレース結果にあらわれます。

ボートレースは不安定な水面の上で高速走行するので、競艇のようにラインを形成して走行できません。
しかし、艇と艇の間を絞って追い抜きが難しくなるように調整するのは可能です。

艇と艇の間を絞ると、その間を強引に抜くことができません。
『モーターボート競走競技規程』という規則の第21条にこんな記載があります。

・モーターボートは、スタート後ゴールインするまでの間、他のモーターボートを追い抜く場合は、そのモーターボートを左側に見て追い抜かなければならない。
・ただし、他のモーターボートの妨害により、左方向に見て追抜くことができなかった場合その他やむを得ない場合、または安全な間隔がある場合は、この限りではない。
(https://www.boatrace-toda.jp/wp-content/themes/Bones/reiki_int/reiki_honbun/w5960203001.html)

こんなルールがあることに驚く人も多いはずですが、ここで注目すべきは「安全な間隔がある場合」という記述です。
ボートレースを見ているとスイスイと艇と艇の間を通り抜けているように見えますが「安全な間隔がなかった」と評価されると不良航法という反則で失格になります。
いくら勝ちが欲しい競艇選手(ボートレーサー)でも不良航法をとられるのは怖いので強引な勝負はできません。
だから、出身地が同じ競艇選手(ボートレーサー)を勝たせるためには、ライバルの艇の『抜き』や『差し』をブロックするために艇同士の間隔を故意に絞るのです。

出走表にわざわざ支部だけでなく出身地まで記載されているのは、出身地がつながっているという人間関係が勝敗を予測する重要なファクターである証拠でしょう。

競艇選手(ボートレーサー)の社会にも『年功序列』は存在する

ボートレースの出走表を見ていると「競艇選手(ボートレーサー)って、意外と若くないんだな」と気づかされます。

たとえば2018年の賞金王は2億円以上を獲得した峰竜太で34歳。
2位は毒島誠で35歳、3位の白井英治は42歳です。
このあたりは一般の会社でも中堅からエースに成長する年齢なので理解できます。
アスリートとして、もっとも脂がのった年代でしょう。

ところが、出走表を見ると40歳代後半~50歳代の競艇選手(ボートレーサー)がたくさん現役で走っているではありませんか。
40歳代ならまだしも、50歳代のトップアスリートなんてほかの業界ではあまり聞きませんよね。

実は、ボートレースには定年がありません。
強制的な引退の制度もなく、裸眼視力0.5を下回るか、または競艇選手(ボートレーサー)自身が「もう限界だ」
と感じるまで、何歳でも現役競艇選手(ボートレーサー)を貫けるのです。
2014年には加藤峻二が72歳で優勝するという記録を残しているくらいだから、40~50歳代なんてまだまだ序の口なのでしょう。

このように年配者が多い業界ですから、先輩競艇選手(ボートレーサー)とのレースでは「若輩者は勝ちを譲らないと…」という年功序列がはたらきそうなものです。

実際に、年配の競艇選手(ボートレーサー)がコース進入でインを獲る動きを見せると、若手はあえてコース争いをせずにインを譲る傾向があります。
さすがに「勝ちを譲る」とまではいきませんが、有利なスタートを譲るくらいの年功序列は間違いなく存在しているので、支部や出身地の関係とあわせて参考にすると的中率アップにつながります。

『ペラグループ』の名残りも残っている?

ボートレースでは、1988~2012年までの間、モーターに取り付けるスクリュー部分の『プロペラ』を自前のものにする『持ちペラ制度』が採用されていました。

競艇選手(ボートレーサー)の中には「ペラは生き物だ」という人もいるくらい、ペラの整備力が走りに影響するわけですが、ペラの整備・研究はとても大変。
そこで、支部や出身地、同期や個人的なつながりなどが『ペラグループ』を作って、共同でペラの研究にあたっていました。

2012年に持ちペラ制度が廃止されたためペラグループは自然消滅しましたが、今でもペラグループ時代の師匠と弟子、先輩と後輩の交流は続いています。
出走表などにはでてきませんが、昔の情報をひも解くとペラグループの人間関係がわかるでしょう。

ペラグループの名残りは、進入のコース取り、ターンマーク直前のチーム戦などをさらに深読みする材料になるはずです。

真剣勝負のボートレースにも『人情』はある

ボートレースはスポーツ競技ではなくエンターテイメントです。
エンターテイメントだからこそ、レースを予測するのが面白くなるたくさんの要素が盛り込まれています。

そこには訓練生時代の同期、所属支部、出身地といった人間同士のつながりが多分に影響しているのです。
ボートのスロットルを握るのは人間です。
競艇選手(ボートレーサー)同士の『人情』を読み解けば、きっとあなたの的中率はグンとアップするでしょう。